本文へスキップ

山下メンタルクリニック - 新潟県小千谷市の精神科 心療内科 神経科

ご予約・お問い合わせはTEL.0258-83-1771

〒947-0042 新潟県小千谷市平沢1-5-26

精神医療ことはじめEssay

No.98

ある裁判

名古屋大学の元学生による殺人、放火殺人未遂および同級生へのタリウム投与事件。
 本人には精神疾患があり、頻繁ではありませんが、同種の事件が何度かあり、これも「人間の可能性と危うさ」の一面なのだと、とても考えさせられます。
(隔靴掻痒の感を抱かせて申し訳ないですが、本人の精神疾患については省略します)

 3月24日、無期懲役の判決が出ましたが、この事件は罪って何だろう?責任能力って何だろう?そもそも人間とは何か、社会とは何か……などと哲学にまで及ぶ、そんな課題を突きつけます。裁判長も悩んだことでしょう。

 刑事責任能力とは、

@ことの善悪を判断する能力(事理弁識能力)

Aそれに従って行動する能力(行動制御能力)
のことで、今回の事件では、裁判長は完全責任能力を認めたとのことですが、本人には@Aとも気になります。

 まず@ですが、本人は法的な、一般常識的な善悪は分かっていたでしょう。
だからといって、腹から、腑に落ちて、身体に染みついて分かっていたかというと疑問で、本人は法律にあるから悪いこと、反社会的だから悪いこと、とは考えないと思われるのです。
 次にAですが、その犯行も「自らの意思に基づき、決意し実行」というより「沸き上がる抑えがたい衝動・好奇心に突き動かされ実行」というのが近いと思われます。

 判決はいったん置いて、振り返ると、本人の@Aともつくづく、人間の可能性と危うさを思わされるのです。


分け入っても
分け入っても
青い山

   山頭火



山下メンタルクリニック山下メンタルクリニック

〒947-0042
新潟県小千谷市平沢1-5-26
TEL 0258-83-1771
FAX 0258-83-1787

inserted by FC2 system