山下メンタルクリニック - 新潟県小千谷市の精神科 心療内科 神経科

No.89

自閉症スペクトラム障害 

発達障害というのは児童の精神疾患の一つのくくりで、自閉症スペクトラム障害ＡＳＤはその代表的なものです。

　従来、精神科では１８歳未満を診る児童精神科と１８歳以上を診る大人の精神科に分かれていて、大人の精神科では児童は診ないのが当たり前と思われてきました。

　ところが、近年『大人の発達障害』などと言われるようになり、にわかに１８歳の垣根が取り払われて来ました。
その端的な表れを「自閉症スペクトラム(・・・・・・)障害」という診断名に見ることができます。

　この診断名自体は、自閉症には濃いものから薄いものまで連続的にある、ということだけですが、よくよく考えると次のことが示唆されていることが分かります。

�@濃いもの（重症）だと２〜３歳で診断され、それなりに対応される。

�A薄いもの（軽症）だと診断されることもなく、ＡＳＤ傾向を持ちながらも普通に学校教育を受け、社会に出て何とか世渡りしていく…

　ということです。

　�Aに該当する方が世の中に出て仕事や対人関係で躓き、大人の精神科に来ることがあります。
その躓きの背景にＡＳＤがあるのですが注意しないと見えにくいのです。
　無理もありません。３０年４０年とそんな傾向を持ちながらもそれなりに適応して世渡りしてきたのですから。

　さらに、目の前の患者さん、あるいは人間を理解するにはＡＳＤという見方は必須、とこの診断名は教えてくれるようにも思うのです。




他人の傷痕をあざ笑うのは
傷の痛みを知らぬ奴だ
　　　　　　ロミオとジュリエット

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