山下メンタルクリニック - 新潟県小千谷市の精神科 心療内科 神経科

No.87

自閉症スペクトラム障害 

近年注目の自閉症スペクトラム障害。これは何か？自閉症、アスペルガー症候群、ＡＤ／ＨＤ、学習障害、広汎性発達障害、自閉症スペクトラム障害……
いろいろな呼び名（診断）が出てきましたが、これらはすべて発達障害という大きなくくりの中の、子供の精神疾患と考えられてきたものです。

そして、いろいろな診断名を見ると、その障害をどんな風にとらえるのが良いのか、その時代の研究者・医療者の苦心も垣間見(かいまみ)えます。

特に「自閉症スペクトラム障害」という診断名、これは考えさせられます。

　スペクトラム―虹が上から赤→橙→黄→緑→青→藍→紫（せきとうおうりょくせいらんし、と覚える）と連続的に色のグラデーションを示すように、自閉症もあの『レインマン』のように本格的な自閉症から、ちょっと自閉症的なものまで切れ目なく連続的にある、というのです。

　これは当たり前といえば当たり前なのですが、はっと目を見開かされます。

　そして、今まで精神科では、うつ病や双極性障害、統合失調症、心気症や強迫性障害などすべての精神疾患の背景にＩＱ(知能)とパーソナリティ（人格）の問題の有無を考えてきたように、これからは発達障害、特に自閉症スペクトラム障害の有無を考慮しなければ、患者も疾患も理解できないのでは、と思うようになってきました。

　これも患者さんに教えられ見えてきたものです。


あたらしき背広など着て
旅をせむ
しかく今年も思ひ過ぎたる
　　　　　　　　　　　啄木

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