山下メンタルクリニック - 新潟県小千谷市の精神科 心療内科 神経科

No.84

人物誤認

誤認逮捕のことではありません。目の前にいる人を別人だと思い込む妄想のことで、次の二つの方向があります。

�@既知の人を未知と誤認
親や恋人など自分にとって大切な親しい人を、誰かがすり替わった偽物だと思い込むものです。
カプグラ症候群とも言います。
実際は疾患単位としての症候群ではなく、単に症状なのですが、そう呼び習わされています。

�A未知の人を既知と誤認
これは道ですれ違う人などを、自分をつけている探偵、あるいは自分に横恋慕したタレントが変装したものだ、などと思い込むものです。
フレゴリの錯覚と言います。
実際は妄想ですが、８０年前から錯覚と呼ばれています。

　�@は認知症や統合失調症で時々見られます。
認知症の夫が突然妻に、
「おまえは何者だ！」
「化けの皮をはいでやる！」
などと言ってびんたを張ることもあります。
妄想は最も近しい人に向けられるだけにショックもひとしおです。

　�Aは教科書には書いてありますが、あまり見ません。
統合失調症で“変装して”ではなく、行く先々で人々が自分を探っている、と訴えることがありますが、これはフレゴリの錯覚ではなく追跡妄想、関係妄想です。

�@�Aをまとめて人物誤認といいます。
じっくり考えるととても興味深い妄想です。



　小千谷を巣立つ若い人達に

　男児志を立てて郷関を出づ
　学もし成る無くんば
　　　　　　　　死すとも還らず
　骨を埋むるに豈(あに)唯(ただ)
　　　　　墳墓の地のみあらんや
　人間(じんかん)到る処青山あり
　　　　　　　　　　　釋月性

　志を得ざれば
　再び此地を踏まず
　　　　　　　　　　野口英世

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