本文へスキップ

山下メンタルクリニック - 新潟県小千谷市の精神科 心療内科 神経科

ご予約・お問い合わせはTEL.0258-83-1771

〒947-0042 新潟県小千谷市平沢1-5-26

精神医療ことはじめEssay

No.81

幻聴と妄想 

前回、小欄でうつ病の三大妄想貧困妄想、心気妄想、罪業妄想は、それぞれその人の性格傾向、価値観、人生観から説明できるということをお話ししました。
今回は精神疾患の最大課題=統合失調症の症状について。

 統合失調症の増悪期を「幻覚妄想状態」というように、幻覚と妄想は統合失調症の代表的な症状です

 幻覚は幻聴、幻視、幻味、幻嗅、幻触と五感に及びますが、幻視が訴えられることはほとんどありません。
 妄想には被害妄想、関係妄想、追跡妄想、注察妄想、被毒妄想などがあります。

 特に、しばしば見られるのが幻聴で、患者を責める幻聴、馬鹿にする幻聴(「よっ、いい男!女泣かせ!」などという幻聴はまずありません)、自分の行動をいちいちコメントする幻聴、自分に命令する幻聴などがあります……
と説明を聞いてもあまり感興も湧かないでしょう。

 ここで登場するのが宮本忠雄(元自治医大教授)です。宮本は言います。


「患者は幻聴を聴いているのではない。聞かされているのだ。聞きたくなくてヘッドフォンをつけるくらいなのだ。この聞かされる体験を視覚に置き換えると、見るのではなく見られるつまり注察妄想になる。患者において聴覚と視覚で対比すべきなのは幻聴と幻視でなく、幻聴と注察妄想なのだ。統合失調症でなぜ幻視が少ないか、これで理解できる」

見事な説明です。
患者を理解しようとする先達の志に襟を正します。励まされます。


思えば長いこと生きてきたものだ。
俺の人生は黄ばんだ枯れ葉となって、風に散るのを待っている。

                    マクベス



山下メンタルクリニック山下メンタルクリニック

〒947-0042
新潟県小千谷市平沢1-5-26
TEL 0258-83-1771
FAX 0258-83-1787

inserted by FC2 system