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幻聴と妄想
前回、小欄でうつ病の三大妄想―貧困妄想、心気妄想、罪業妄想―は、それぞれその人の性格傾向、価値観、人生観から説明できるということをお話ししました。
今回は精神疾患の最大課題=統合失調症の症状について。
統合失調症の増悪期を「幻覚妄想状態」というように、幻覚と妄想は統合失調症の代表的な症状です。
幻覚は幻聴、幻視、幻味、幻嗅、幻触と五感に及びますが、幻視が訴えられることはほとんどありません。
妄想には被害妄想、関係妄想、追跡妄想、注察妄想、被毒妄想などがあります。
特に、しばしば見られるのが幻聴で、患者を責める幻聴、馬鹿にする幻聴(「よっ、いい男!女泣かせ!」などという幻聴はまずありません)、自分の行動をいちいちコメントする幻聴、自分に命令する幻聴などがあります……
と説明を聞いてもあまり感興も湧かないでしょう。
ここで登場するのが宮本忠雄(元自治医大教授)です。宮本は言います。
「患者は幻聴を聴いているのではない。聞かされているのだ。聞きたくなくてヘッドフォンをつけるくらいなのだ。この聞かされる体験を視覚に置き換えると、“見る”のではなく“見られる”つまり注察妄想になる。患者において聴覚と視覚で対比すべきなのは幻聴と幻視でなく、幻聴と注察妄想なのだ。統合失調症でなぜ幻視が少ないか、これで理解できる」
見事な説明です。
患者を理解しようとする先達の志に襟を正します。励まされます。
思えば長いこと生きてきたものだ。
俺の人生は黄ばんだ枯れ葉となって、風に散るのを待っている。
マクベス
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