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山下メンタルクリニック - 新潟県小千谷市の精神科 心療内科 神経科

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精神医療ことはじめEssay

No.79

何故なしに生きる 

患者さん、特に若い女性から
「何故生きないと駄目なんですか?」
「何のために生きるのですか?」
などと聞かれることがあります。言葉に詰まります。
 実際のところ、私は「何故生きるのか」「何のために生きるのか」などと考えたことがないのです。
それで、ちょっと赤面しながら
「ごめん。僕はそんな風に考えたことがなくて…僕はいつも“生きる”ってどういうことだろう、人間って何だろう、などと考えていて…ただ、あなたが壁にぶつかっているということは分かりますが…」
などとお答えします。

 たいてい、相手の方は何も感想を漏らさず黙っています。
おそらく、返答を期待しているというより、自分で自分に問いかけているのでしょう。
 さらに、私に余裕があるときは、昔のCMソング―
 ♪ソ、ソ、ソクラテスか
  プラトンか
  ニ、ニ、ニーチェか
  サルトルか
  みーんな悩んで
  大きくなったぁ!

        野坂昭如
と歌うのですが、もちろん、えっ?と顰蹙を買います。


 正に生きているとき、あるいは“生きるとは”などと考えているときには“何故”などとは考えません。
人生の課題に直面して挫折しそうなとき“なぜ”と自問するのでしょう。
仕方ないことです。早まらないでほしいと思います。

 河合隼雄の言う「何故なしに生きる」(何故生きなければならないか、と言うことなしに生きる)というのが良いのでしょうが、やはり、私たちは、若者は考え悩みながら大きくなるのでしょうね。

友を選ばば 書を読みて
六分(りくぶ)の侠気 四分(しぶ)の熱
         与謝野鉄幹




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