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山下メンタルクリニック - 新潟県小千谷市の精神科 心療内科 神経科

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精神医療ことはじめEssay

No.75

突出して生きる 

良寛の一生は逸話で(いろど)られている。何よりそのことに驚嘆する。
いかに突出して生きて来たか。

 ある日、父に叱られた栄蔵(良寛の幼名)が上目遣(うわめづか)いに父を見上げたところ、父から「そんな目つきで親を見る(かれい)になるぞ」と言われた(鰈は上目遣いでしょうか?)。
 その日の夕暮れ、栄蔵が家にいない。
家の家族、使用人で方々探したところ、日本海の波打ち上がる岩の上に栄蔵がしょんぼりしゃがんで「まだ、鰈になっていないのかえ」と言ったという。

そのときの良寛の気持ちと、そのことを聞いたときの母ひでの気持ちを思います。

たらちねの母が形見と
朝夕に 佐渡の島辺を
うち見つるかも

 ひでは良寛が出家して国仙和尚に連れられて遙か備中玉島に向かって旅立つとき、ずっと姿が見えなくなった後も立ち尽くしていたという。

そして、円通寺での修行中のこと。
托鉢していたところ泥棒と間違われ、村人に捕まりあわや生き埋めになりそうになった。あらがう様子もなく、あまりに大人しいことに村人も(いぶか)しみ、結局良寛とわかり放免されたという。
良寛曰く「一度疑われたら言い訳は無益とあきらめた」と。

捨てし身をいかにと問はば
ひさかの
雨降らば降れ風吹かば吹け

この二つの逸話はどこか通底していますね。

えっ?精神科と関係ない?
実は患者さんから度々「淋しくて」と言われるのですが、そのたびに「良寛も淋しかったんですよ」と言うのです。

山かげの
岩間をつたふ苔水の
かすかに我はすみわたるかも



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