山下メンタルクリニック - 新潟県小千谷市の精神科 心療内科 神経科

No.74

適応障害

生きていると、突然「癌です！」と言われたり、借金で首が回らなくなったり、夫に女ができたり、フグに中(あた)ったりします。
　こんなある程度日常的なストレスにさらされて、その結果、不安、気分の落ち込み、混乱、絶望などの症状が出て病院に来られると、「適応障害」と診断されます。
　最近はこのような方が多いように思います。
　すると、医院はさながら「よろず人生相談所」の体(てい)になります（私の方が相談に乗ってほしいくらいなのですが）。
　従来だったら、こんなことで病院に行くのか！そんなことは、人生上の出来事で仕方ないだろうに…そう思われたかと思います。
　ところが、何と！治療できるのです。どうするのか？答えはＳＳＲＩという種類の薬です。
　この種の薬は脳をクールダウンさせる効果があります。「ま、頭を冷やせ！」という訳です。ストレスで頭がいっぱいの状態を、「ま、いいか」とちょっと距離を置いて考えさせる、そんな効果があるのです。
　私は、これを「ま、いいか効果」と呼んでいましたが、ある先生は「ジャマイカ効果」と言っています。「じゃ、ま、いいか」というのです。
　ただ、これも過ぎると「どうでもいいか効果」になるので、注意が必要です。
　「辛くても、俺は病院なんか行かないやい！」と言う人もいるでしょう。それで良いと思います。
　耐えられる人は耐え、乗り越えられる人は乗り越えればいいのです。
　結局、ここでも――


健(すこ)やかなる者は医師を要せず。ただ、病める者のみ、これを要す。


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