山下メンタルクリニック - 新潟県小千谷市の精神科 心療内科 神経科

No.71

精神疾患の治療

一九五〇年代、精神医療の現場に本格的に薬物療法が導入され、精神医療は正に画期的に進歩しました。
この精神疾患の薬物療法導入には大きく次の二つの意味があります。

⑴治療法の発見
これまで加持祈祷、悪魔祓い（エクソシスト）、霊水、滝業……などなど摩訶不思議なものに頼っていたものが、確実に、効果を実証できる治療法が見つかったということ（これは医療者に勇気を与えます）。

⑵精神疾患は脳の病気
それまで、精神疾患は狐憑き、悪魔憑き、先祖の祟りなどの迷信にまみれてきたのが「薬で治る」ということで、脳の病気であるということがはっきりしたということ。

この二つが双輪となって精神医療をさらに発展させます。

　さらに、薬物療法の発展と共に、薬物の作用メカニズムと精神疾患の発生メカニズムが同時に解明されつつある時代になってきました。
　一方で、精神疾患は薬物療法がすべてという訳にはいかないところがあります。
それは、精神を病むということは、ただ脳を病むというばかりでなく、人間が病むということでもあるからです。
　人間が身体的存在であると同時に、心理的存在、社会的存在、さらには実存的存在である以上、脳ばかりでなく、その人の人生をも視野においた治療、全人的治療が求められていると思うのです。
　……と、大風呂敷ですが、確かにそう思うのです。

新(あらた)しき年の初めの初春の
今日降る雪のいやしけ吉事(よごと)
　　　　　　　　　　大伴家持

今年が皆様に
いい年でありますように！

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