本文へスキップ

山下メンタルクリニック - 新潟県小千谷市の精神科 心療内科 神経科

ご予約・お問い合わせはTEL.0258-83-1771

〒947-0042 新潟県小千谷市平沢1-5-26

精神医療ことはじめEssay

No.70

すべては疑いうる

睡眠中、奇妙な夢を見ることはありませんか?
そして、目覚めると夢の詳しいストーリーは忘れて、怖いとか、嫌なとか、そんな気分だけが残ります。
(漱石の『夢十夜』には、そんな奇妙な夢の数々がストーリーまで見事に美しく再現されています。これを読むと、漱石の天才を感じると同時に、日本人で良かった、日本語が分かって良かった、とつくづく思います)。
 ところで、私たちが夢の奇妙なストーリーの中にいるとき、私たちは「あれっ、これは変だぞ」と不思議に思うことはありません。
突然、裁判官が現れたり、連絡船やラーメンが出て来ても、そのまま受け入れ、「おやっ?何だ?」と思うことはなく、夢の非常識、荒唐無稽を自覚しません。
これはどうしてでしょう?
これは睡眠中、自分自身を客観的にモニターしている脳の(はい)外側(がいそく)前頭前(ぜんとうぜん)()という部分の機能が低下しているためらしいのです。

 これはじっと考えると、妄想を理解する大きなヒントになることが分かります。
「犬が左を向いたのは死ねということだ」「見知らぬ人たちがひそひそ自分の悪口を言っている」など、どう考えても奇妙なことを信じるのは、この背外側前頭前野の機能が低下しているからではないか、そう思われるのです。

 私たちは背外側前頭前野を使って、自分の考えていることはほんとに正しいのか、自分はほんとにこれで良いのか、といつも振り返って反省すべきなのでしょう。

私もいろいろ考え反省し、結局、「俺はバカだ」と気づくのですが…

我々はどこから来たのか
我々とは何か
我々はどこへ行くのか


ポール・ゴーギャン


このページの先頭へ

山下メンタルクリニック山下メンタルクリニック

〒947-0042
新潟県小千谷市平沢1-5-26
TEL 0258-83-1771
FAX 0258-83-1787

inserted by FC2 system