本文へスキップ

山下メンタルクリニック - 新潟県小千谷市の精神科 心療内科 神経科

ご予約・お問い合わせはTEL.0258-83-1771

〒947-0042 新潟県小千谷市平沢1-5-26

精神医療ことはじめEssay

No.68

貧者の一灯

昔、貧乏な男が友人の結婚式に出かけ、受付で祝儀袋を出した(受付はこれまた貧乏な私)。
中包みに「気持ち」と書いてあり、お金はなく詩一編が入っていた。
詩は忘れたが、「貧者の一灯」という言葉を思い出し胸を打たれた。
 貧者の一灯―英語では、
「少し与える者は真心より与え、多く与える者は富より与える」というとか。分かりやすくうまいですね。
 人に何かを贈る、あるいは何かをするというのはメッセージであり、気持ちの表現ですが、男の贈ったのはまさに気持ちそのものでした。
 男は二次会でお祝いの気持ちのこもった自作の詩を朗読し、歌を歌いました。
その歌は輪唱するもので、曰く、
 ♪私は宿無しで
  一文無しだけど
  心は朗らかです
  私は宿無しで
  ……
 人間、最期のもっとも大切なものは何か、と考えさせられました。

 五味川純平の大河小説『人間の条件』の、どうしても泣けるラストシーン―
 何も持たない凍死寸前の梶が最期に美千子に届けようと握りしめていた饅頭、あれは梶のすべての思いの結晶であると胸を打たれるのです。
 つくづく物でなく気持ち、物に乗せて届けられる気持ちが大切だと気づかされます。

 山菜を採ってわざわざ私のところに持ってきてくれるおばあちゃんがいます。山菜はもちろん嬉しい。でも、何よりその気持ちが嬉しく、励まされ、頑張ろうという気持ちにさせられます。

 君にあるのは一巻の(ハム)(ソク)(ホン)
 
一輪のひさごの花だけ……

                         (キム)()()


このページの先頭へ

山下メンタルクリニック山下メンタルクリニック

〒947-0042
新潟県小千谷市平沢1-5-26
TEL 0258-83-1771
FAX 0258-83-1787

inserted by FC2 system