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人間は記憶のかたまり
認知症の理解・対応が進むと共に、認知症の症状は次の2つに分けて考えられるようになりました。
①中核症状:記憶障害、見当識障害、理解・判断力障害、失行・失認・失語など。
②BPSD:興奮、暴言、不潔、妄想、不眠、徘徊など。
BPSDというのは認知症に伴う行動や精神の症状のことで、介護保険の関係では一般的な術語になっています。
①はすべての認知症に共通する症状で、②はそのために起きる問題行動のことで、かつて随伴(周辺)症状と言われ、その人の置かれた環境やその人の性格が反映します。
介護の現場では②が問題になりますが、それも①から生じますので、結局①の解決が求められるわけです。
ところで、その中核症状の中の中核たる記憶障害=「記憶がなくなる」とはどういうことかということです。
ジョージ秋山の『
釣りをしている楽隠居の渋沢先生が主人公浮浪の息子新之助に言います。
「水の中に生まれて、
水の中で死んでいく、
お魚は、
水のかたまりなんですねえ」
お魚が水のかたまりなら、人間は記憶のかたまり、そう思います。
記憶が消えていくというのは、その人が消えていく、そういうことだと思います。
精神科の最大の課題、統合失調症が「自分が自分でなくなる」
人生を享受するためにも乗り越えるべき課題です。
大空の塵とはいかが思ふべき
熱き涙のながるるものを
与謝野鉄幹
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