山下メンタルクリニック - 新潟県小千谷市の精神科 心療内科 神経科

No.63

３つのうつ病

現在うつ病は労働者の一番の健康問題、自殺の原因、さらに(※)ＱＯＬを下げる大きな原因として重要になっています。
　うつ病はそんな風に重要ですが、実は「うつ病」とひとくくりにしている中に、いろいろなうつ病があって……鯛にもいろいろあり、真鯛、黄鯛、石鯛、石垣鯛、めでタイ、痛い、気体、固体、ケータイ……と同じで、
私（あるいは多くの精神科医）は治療上「うつ病」を次の３つに分けています。
　①内因性うつ病
　本格的なうつ病で、多くは原因もなく発症します。自分でもどうしてこうなるのか分からず症状自体に悩むといった状態です。大概自責的で日内変動と言って夕方になると楽になる傾向があります。
　②心因性うつ病
　原因があってのうつ病です。原因があるので症状より原因に悩むといった体で、環境を嘆いたり、さらに他罰傾向も見られます（嫌ですね）。
　③双極性うつ病
　双極性障害（昔の躁うつ病）のうつ状態です。これは当初①②との鑑別が難しいことがしばしばです。
　こんな風に分けるのは、その治療も予後も違うからですが、治療は①では薬物療法が、②では環境調整とストレス対処（補助的に薬物療法）が、③では①よりさらに薬物療法が重要で特に気分安定薬が基本になります。
　こんな風に３つのうつ病に分けて治療されていますが、いずれも「うつ病」の成り立ち＝病理と治療が密接にリンクされています。
これが私の「うつ病」治療の現場です。
　♪人生いろいろ
　　うつ病もいろいろ……

※ＱＯＬ　quality of life
　生活の質、人生の中身　


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