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山下メンタルクリニック - 新潟県小千谷市の精神科 心療内科 神経科

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精神医療ことはじめEssay

No.55

人生の踊り場

抽象的に「労働」を考えると、労働とは「生活に有用なものを作り出す活動」くらいな意味になるでしょうか?
 その「労働」がすぐ嫌なもの、辛いものという暗いイメージを喚起するのは、現在の労働が労働力を売って対価を得る、「生活のためやむを得ず」「嫌々ながら」やる活動になっているからでしょう。
 本当は私たちも、たとえば音楽家や陶芸家のように、労働を通じて自分の可能性を実現し、社会につながり貢献できる、そんな風に生きられたら良いと思うのです。

 ともあれ、私たちは学校を出て社会に打って出て、親から離れ自立し、自分も親となり……などの人生行路は労働によってのみ可能になっています。
その労働がうつ病になると困難になります(現在労働者が働けなくなる最大の原因はうつ病です)。
今までの人生行路から外れ途中下車することになります。
すると、出世コースから外れたように思い落胆する人も、将来への不安に脅かされる人もいます。

このような方を沢山見てつくづく思うのは、
「真っ直ぐ走るだけが人生じゃない。時には立ち止まり、今までの自分を振り返り、これからの自分を考える、そんな時間があっても良いんじゃないか。うつ病は辛いときではあるけど、そんなことを考える機会を与えてくれる“人生の踊り場”じゃないか」
ということです。
 秋の夜長、そんなことも考えました。

秋……万葉集中の名歌―

 
我が背子(せこ)を大和へ()ると
小夜更けて
(あかとき)(つゆ)に我が立ち濡れし


    大伯(おほくの)皇女(ひめみこ)

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