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山下メンタルクリニック - 新潟県小千谷市の精神科 心療内科 神経科

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精神医療ことはじめEssay

No.52

症状の向こうに人間あり

先日、80歳を超えた著名な精神科医の講演を聴く機会がありました。
経験に洗われて出てくる含蓄のある言葉に、感心させられたり勇気づけられたりしました。

 いくつかご紹介しますと、
80歳を超えると、人格障害は怖くないですね。
向こうも私を怖がりませんし」
「電気(ショック療法)は嫌ですね。良くなるのですが、理由が分からなくて」
「診察の時、症状だけを話題にしたくないですね」
などなど。

 そして、著書で何度か見たことのある次のようなスライドを示されました。
 3枚のカードを矢が貫き、カードの1枚目に「症状」、2枚目に「疾患」、3枚目に「人間」と書いてあります。
 つまり、矢は視線で、まず症状を見て、その背後にある疾患を見る。
さらにその向こうの「人間」を見ましょう、というメッセージです。
 主に大学で研究、教育に従事されてきた先生ですが、その診療スタイルには励まされる思いでした。

 患者さんは症状を訴えて来院されるわけですが、診察はそこで終わらず、症状の背後にある「疾患」、さらにその向こうにある自分と同じ時代、同じ社会を生きる「人間」を見ないと、木を見て森を見ず、鹿を追う者は山を見ず、になると改めて自戒しました。

 もっとも、ある心気的な患者さんからは、
「先生はいつも、体より人生、とか言って、どこに釣りに行ったか、山菜は食べたか、とか言うよね。少しは病気を話題にしようよ」
と言われますが。


   棟方志功君、
   感激とは万朶の火花
        福士幸次郎              

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