山下メンタルクリニック - 新潟県小千谷市の精神科 心療内科 神経科

No.46

精神医療は人生相談？

上司に厳しく注意された、女にふられた、癌を宣告された、子供が非行に走った……このようなことを訴えて受診する方がいます。
原因があってのことで了解可能で仕方ないことに見えます。
実際、受診する本人も、
「こんなことで来て申し訳ありません。仕方ないこととは分かっているのですが……」と情けない風に話されます。
それでも、受診するというのはよくよく辛いからだろうと察します。
　このように、いろいろなストレスから精神的苦痛を感じ耐えがたくなって受診することがあり、適応障害という診断になります。
医療がこんな人生相談のようなことで良いのか、と言われそうですが（大体お前が人生相談に乗れる柄か、とも言われそうですが）、「身体科が臓器・体を診るとしたら、精神科は人間・人生を診る」訳で、精神科がある程度人生相談の様相を呈するのは必然なのでしょう。
　ところで、こんな原因があってやむを得ないような、一見根性が足りないだけのような状態に治療はあるのかというと、実はあるのです。
特にＳＳＲＩ（選択的セロトニン再取り込み阻害薬）という薬と認知療法が発展して、適応障害が精神医療の対象になってきました。
「求めよ、さらば与えられん。門をたたけ、さらば開かれん」で耐えがたく辛いとき、求めれば与えられるのです。
昔気質の上司には「そんな根性のないことでどうする！病院なんかに行くことか！」と言われそうです。
そんな時、私はこう言うのです。

健やかなる者は医者を要せず、ただ病める者これを要す。