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良寛も淋しかった
秋から冬に向かう今、何人かの患者さんから、
「何か淋しくて……」
と言われます。
患者さんの生活事情はそれぞれですが、私はたいてい、
「私もそうです。良寛もそうだったんですよ」
と答えます。
「だから、どうだってんだ」と言われると困るんですが、良寛さんもそうだったとすると、あきらめもつこうというものです。
私たちは生きていると、いろいろな出来事に出会い、その出来事を自分なりに(反省もなく反射的に)解釈して喜怒哀楽、いろいろな感情に浸されることになります。
癌と言われるとが~んとして、短絡的に、「もう終わりだ!」と絶望的になります。
(「癌と言われる」=出来事と「もう終わりだ」=絶望、この出来事と感情の間にある反射的な認知の仕方に働きかけ、あなたの絶望は当然のことですか、ここにはあなたの出来事に対するものの見方があるのではないですか、別の見方、より適切な見方をすれば絶望にはならないのではないですか、と説明するのが認知療法です)
このように、多くは出来事に遭遇して一定の感情が湧くと思われるのですが、どうも淋しさは、さしたる出来事もなく自然と湧いて出ると思われるのです。
淋しさloneliness、これは人間が社会的動物である以上、必然なのかもしれません。
人生、いつも淋しいのですが、とりわけ秋の夕暮れは淋しさひとしおですね。
行く秋の
あはれを誰に語らまし
あかざ籠あかざ
良寛
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