山下メンタルクリニック - 新潟県小千谷市の精神科 心療内科 神経科

No.30

アイデンティティの確立 

駕籠に乗る人担ぐ人、そのまた草鞋を作る人……適材適所。人それぞれ場を得て、自分の力を出しながら、何とか世渡りできる、そうなれば嬉しいですね。
さらに、駕籠に乗る人も担ぐ人も草鞋を作る人も、同じ給料だといっそう良いと思います。

そうなれば、仕事をするモチベーションは金・地位・名声でなくなり、人はそれぞれの適性に応じて、自分のやりたいこと、やって楽しいことを見つけ、自分を磨きます。

そして、自分の仕事を通じて人に役立てる、人に喜ばれる、というのをモチベーションに頑張れるようになるでしょう。

こんな社会になれば、自分らしく、自分の納得がいく生き方ができるわけで、そのままアイデンティティの確立につながります。

　アイデンティティ＝自我同一性の確立というのは、「自分を生かせない、自分の本来が分からない、どう生きていいのか分からない、自分が分からない…」という問題を解決し、社会の中で自分の生きるべき道を見つけることで、アメリカの精神分析学者エリクソンが青年期の課題として挙げたものです。

（そうか、おれは青年期なんだ！自分を見失っているし、迷っているし、友人に「お前、生きていたのか！」と言われるし……と考えても慰めにならないなあ）

　自分を見つけ、自分の力をきちんと生かす。これは自分のためばかりでなく、社会のためにもなることなのです。

こころよく

我にはたらく仕事あれ

それを仕遂げて死なむと思ふ

　　　　　　　　　　　啄木

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