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山下メンタルクリニック - 新潟県小千谷市の精神科 心療内科 神経科

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精神医療ことはじめEssay

No.22

想像力 

 今年10月、群馬県で小6の女の子が自殺しました。
もちろん、原因は一つではないでしょうが、最も大きな原因が想像力の欠如だと思いました。

特に痛ましいのは給食の時、他の子供たちはグループで食べているのに、女の子はひとりで食べていたということ。
亡くなる数日前、担任とは違う教諭に「私は給食をひとりで食べているんだ!」と泣きながら叫んだという。

給食の時間、同じ教室で、女の子だけがひとりぽつんと震えながら耐えている(おそらく、泣くこともできなかったでしょう)。
それを見ながら、他の子供たちはご飯を食べて……食べられるのだろうか?のどを通るのだろうか?

そこには「自分がその立場だったらどうなのか」という想像力が見られません。

 お母さんだったら、我が子が怪我をして血を流しているのを見たら、自分が怪我したような痛みを感じるでしょう。そんな自然に働く想像力が見られないのです。
この想像力の欠如がこの事件の大きな原因だと思うのです。

 精神科の診療で、患者さんの立場になって患者さんの心理を追体験する「感情移入」も、この想像力なしにはありえません……というより、このような想像力は人間の条件とも言うべきものでしょう。

子貢(しこう)が孔子に「終身、行うべきことを一言で言ったら何でしょうか?」と問うと、孔子は「それは“恕(じょ)”だね」と答え、さらに次のように言う。

 己(おのれ)の欲せざるところを

 人に施すことなかれ

 恕は「心の如し」の会意。
人の心も自分の心と同じだから想像力を働かせなさい、ということ。
これからの子供たちに伝えたいですね。


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