山下メンタルクリニック - 新潟県小千谷市の精神科 心療内科 神経科

No.18

淋しい時には、

淋しいと言おう！

社会で生活していると、何か頼む時、尋ねる時、言い訳する時……いろいろな場面で人とのコミュニケーションが必要になってきます。

　でも、つい自分の気持ちを言うのを躊躇したり、押し殺したりすることはないでしょうか？特に嫌な気分にさせられた時、怒りを覚えた時―

　どうせ言っても無駄だ、と諦めたり、どうしようかと考えているうちに明日になったり、ひとり言のように言ったり、もう嫌になったり……

「思ふこと言はでぞただにやみぬべき　われとひとしき人しなければ」と業平は歌っています。
結局、「言わないぞ」と歌っているのです。どうしても歌いたいのです。
「歌（うた）う」は「訴（うった）う」だから。

「おぼしきこと言はぬは、腹ふくるるわざなれば」で、私たちは自分の気持ちを率直に表現することに慣れる必要があるようです。

　相手を尊重しながら、自分の気持ちをきちんと表現する―アサーションと言います―ことがとても大切です。これがコミュニケーションの基本です。
伝えられ受け止められれば嬉しいのですが、そうでなくても、表現したことでストレスはぐっと下がります。

　……とはいっても、私もレストランで素直に気持ちを表現してないなあ。
「いつまで待たせるんだ！」と言いたいのに。

（普段の診察で私が待たせている報いでしょうか）

　こんな風に思うのです。

悲しい時には、　　　

「悲しい」と言おう！　　　

淋しい時には、

「淋しい」と言おう！

ほんのちょっとだけ慰められる。

ほんのちょっとだけど…

（2010/07/21）

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