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その人は……
突然ですが、和歌山県新宮市というと、大石誠之助、中上健次を思い出します。
中上健次は書いている。
「大石ドクトルの拘引・処刑は、町の人間には大きな衝撃だった……
その人は医療費を払えぬ貧乏人に、言葉にして「金がない」と言うのは恥ずかしいだろうから、硝子窓を三回トントントンと叩いて合図しろと教え、そうすればただで貧乏人を診察した人だった……
義父の母親、私から言えば義理の祖母が、そうやって硝子窓を叩いて診察してもらった」
大石誠之助は、1910年の大逆事件の犠牲者のひとりですが、当時の警察の調査報告書には、
「大石誠之助如きは主義の拡張に意を用い……自己が医を業とせるよりして、常に貧民に施療し、中流以下の者に対しては自ら進んで薬価の請求を為したることなく、貧民の請に対しては深夜と雖も直ちにこれに応じ、貧民部落に信用を得んことに努め……」
などと褒めているのやら貶しているのやら分からないことが書かれている。
また、彼は金持ちを往診するときには倍の診察料を請求し、文句を言われると、
「私は貧しい人にはお金は求めない。その分です。社会奉仕だと思ってお払いなさい」
と言ったという。
自分が社会奉仕の仲立ちをしているという訳で痛快です。
それにしても、安政の大獄といい大逆事件といい、日本はなんと前途有為の人を失ったことか!(榎本武揚のようにできなかったのか)と嘆かずにはいられないですね。
秋の田の穂の上に霧らふ朝霞
いづへの方に我が恋やまむ
磐姫皇后(万葉集)
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