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山下メンタルクリニック - 新潟県小千谷市の精神科 心療内科 神経科

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精神医療ことはじめEssay

No.162

症状と検査データ 


一 昔の診察風景

 私たちが、お腹に異常を感じ病院に行くと、

@どこの具合が悪いですか、と聞かれます(問診)。
そして、
A視診→B触診→C打診→D聴診、というふうに進めます。
(昔の名医はさらに、
()()といって遠くから患者の様子を見てある程度の印象を得たとか)

@〜Dまで、患者を身近に見て触り叩き聴診器を当て、症状の原因を探ろうとしました。
これが基本で、これらの行為そのものが治療的でした。

そして、ある程度見通しを持って検査し診断し、治療方針を立て患者に説明します。
その後は患者と共に症状や検査データの改善を待ちます。


二 今の診察風景

 何らかの症状を訴えて病院に行くと、@〜Dは概ね昔と同じですが、医師の頭には症状・経過からいくつかの診断が浮かび、それに従って検査をオーダーします。
そして、確診し治療に入ります。

その後、医師は患者に検査データを示して、あれこれ説明します。

次第に医師は目の前の患者より検査データに注意・関心が移り、ついには患者に「先生は患者を診ない」などと言われます。

医師が検査データを示し─
医師「良くなっていますね」
患者「具合悪いんですが」
医師「おかしいな。そんなはずないんだけど」
患者「痛いし熱っぽいし」
医師「おかしいな。症状がおかしいと思うよ」などと言います。
「あんたが一番おかしいよ」と言いたくなりますね。




大海の磯もとどろに寄せる波
割れて砕けて裂けて散るかも
         源実朝


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