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精神科の言葉
数カ月に一回、髪がぼーぼーに伸びると子供の頃からの行きつけのK床屋さんに行きます。
「いつも通りで良いですか?」
「はい、お願いします」
という具合に始まります。
床屋さんは私の髪を霧吹きのようなもので濡らしてから櫛で髪を梳き、やおらハサミをチョキチョキ入れます。
初めは、ばさっばさっと髪がおろされます。そして、だんだん小さく刈られ、やがて、できあがるのですが、よくもまあ、あんなぼーぼーの頭が上手に刈り込まれるものよ、といつも感心します。
床屋さんのハサミは、まさに快刀乱麻を断つだなと思うのですが、翻って、つくづく「精神科の言葉は床屋さんのハサミの切れ味がないといけないな」と自戒するのです。
@ぼーぼーの頭のように、悩み、混乱している患者さんの気持ちを上手に整理して、
これらを主に言葉を通じたコミュニケーションを取りながらやるのですが、私の言葉に床屋さんのハサミの切れ味はあるのか、と反省させられます。
普段の私の会話―
患者「眠れないんです」
私「あなたのような若い女性は眠ることでなく起きて楽しいことを考えないとね」
患者「心臓がどきどきするんです」
私「心臓は止まったら心配して良いのですが、動いているのを心配しなくて良いのです」
どうも、お気楽だなあ。
良寛の愛した道元の言葉を振り返ろう!っと。
愛語よく回転の力あるを学すべきなり。
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