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社会文化的存在
筆者愛読の精神科の教科書に、
「精神医学は人間の精神面を扱うが、人間は身体的存在であるばかりでなく、心理的・社会的・実存的存在でもある」
と書かれています(大熊輝雄著『現代臨床精神医学』)。
これを分かりやすく説明すると、ジョージ・エンゲルのBio-Psycho-Social Model、
つまり、生物・心理・社会の軸から人間を理解する精神医学が理想的なものだということで、これが一応、今日まで定説かと思います(実は、精神医学もかなり生物学的になってきていて、これがまた説得力があるのです)。
一昨日(6月29日)、患者さんと話していて、この「生物・心理・社会」のうち、つくづく社会文化的存在としての人間を考えさせられました。
患者さん「もうすぐ、七夕で、すると夏休みですね」
私「暖かくなって、みんな半袖だな、とは思ったのですが、もう夏休みですか!」
考えてみると、私たちは、地球の公転による日照時間の変化、気温の変化だけでは季節は感じられず、ひな祭りや鯉のぼり、「ピッカピカの一年生」を見たり、田植えや七夕、海水浴や花火、お盆の帰省、冷し中華……
そんなものから季節・時の流れを感じていたのだと気づき、しみじみ、オレは・人間は社会文化的な存在なんだ、と思いました。
コロナ禍で自粛が続いてイベントが軒並み中止になり、文化的な目印がなくなって、生活にメリハリなくなり……失って初めて身に沁みて分った次第。
ふるさとの訛りなくせし
友といて
モカ珈琲はかくまでにがし
寺山修司
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