山下メンタルクリニック - 新潟県小千谷市の精神科 心療内科 神経科

No.148

既製服か注文服か　

病気になり受診を考えると、誰しも、あんな病院に行って、あんな医師に当たったばっかりに、あんなことになってしまって……などとならないよう、いろいろ考えて安心できそうな病院・医師を選択すると思います。

　そんな場面でいつも「標準化治療」と「個別化治療」というのを考えます。


⑴　標準化治療
　これは治療のスタンダード、標準ということです。
どんな病院、どんな医師に当たっても一定の統一的な適正な治療を受けられるよう保証しようということです。
　胃がんの場合ですと、『胃癌取扱い規約』『胃癌治療ガイドライン』がそれに当たります。要するに、胃癌のトリセツです。

⑵　個別化治療
　一方、個別化治療は、目の前の個々の患者の病態・患者を取り巻く状況・希望などに応じて具体的な治療を患者と話し合いながら決定していくもので、日々の臨床はこれに当たります。

　⑴の土台の上に⑵が成立している訳です。

　寒くなったら服を着ますが、まず、既製服で間に合わせます（標準化治療）。
でも、できたら「合わない服で我慢する」のではなく、自分に合わせた注文服がおしゃれですね（経験ないですが。これは個別化治療）。

　他人事でなく、筆者も「あんな医師に当たったばかりに」と言われぬようにせねば─



暮れ行けば浅間も見えず
歌哀し佐久の草笛
千曲川いざよふ波の
岸近き宿にのぼりつ
濁り酒濁れる飲みて
草枕しばし慰む
　　　　　　　藤村

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