山下メンタルクリニック - 新潟県小千谷市の精神科 心療内科 神経科

No.147

持効性注射剤（デポ剤）　

　30年前、精神病院では10年以上入院している人も多く、中には30年以上！入院している人もいました。
　長期入院者のほとんどは統合失調症で、私は長期入院の原因は本人の病状のせいなのか、それとも社会的・福祉的な問題なのか分からないまま、目の前の患者さんをよく知りたいと思っていました。

　そこで、診療と併行して、残っている古いカルテを引っ張り出して読みました。
中には分厚いカルテが三冊30センチになる人もいました。

　物語のようなカルテの記載に「初診までの家族の苦労」「怠薬、拒薬」「再入院」などが共通に見られました。


⑴初診までのこと
　病識がない、自分では病気だと思っていませんから、家族が病院に 連れて行くのは大変なことです（私は「あちらが来ないなら、こちらが行こう」と、頼まれればおっとり刀で出かけましたが）。

⑵再入院のこと
　何人ものカルテに「病識なく怠薬して」「拒薬して再発」などの文言が記され、そして、再入院と続きます。
「退院→病識欠如→怠薬・拒薬→再入院」のループを回転ドア現象といいます。
この解決が大きな課題でした。


　そこに現れたのが持効性注射剤（デポ剤）。
　これは月に１回注射するだけで薬は飲まなくていいというもので、怠薬・拒薬の問題もこれで（ある程度）解決されました。

♪アッと驚く為五郎～

です（古いですね）。

　さらに最近、１回注射すると３か月有効というものが現れ、今昔の感に堪えません。


思えば守れない約束ばかりだった。
会いたい人と会えない人。
風の便りはいつも風向き次第。
どうか、タイムマシンが発明されませんように。
目を閉じるだけで十分です。
　　　　　　　二階堂酒造のＣＭ

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