山下メンタルクリニック - 新潟県小千谷市の精神科 心療内科 神経科

No.140

人類と感染症　

前回の小欄は、第一次世界大戦末期にスペイン風邪が流行し、戦争で亡くなった人は一千万人、これに対してスペイン風邪による死者は４千万人だったとの話でした。

　他の感染症はどうかといいますと―


　�@ペスト
何回か流行が繰り返されていますが、１４世紀、中国で発生し人口の９割が亡くなり、それがヨーロッパに拡がり、ヨーロッパ人口の１／３から２／３が亡くなったとのこと。
全く、スケールが違います。
この流行期にボッカチオが「デカメロン」を書きました。


　�A天然痘
　１６世紀、スペインのコルテスが五百人の戦士を率いて二千万人のアステカ帝国を、ピサロが二百人の兵隊で一千万人のインカ帝国を滅ぼした。と歴史で勉強しました。
なにい？何が起きたんだ？と面食らいます。
　真相は感染症・迷信が原因で、特にスペインから持ち込まれた天然痘、チフス、インフルエンザが猛威を振るい、結局滅びたとのこと。


　�B結核
　戦後、薬物療法が始まるまで有効な治療法もなく、日本ではずっと死因の第１位で、まさに「死の病」で、もっぱら隔離が行われました。
　正岡子規、樋口一葉、石川啄木、長塚節……等々が結核のため若くして亡くなっています。

　結核はＷＨＯの16年の統計によると、世界人口の死因の第12位だとか。侮れません。

　幾多の感染症を乗り越えて、今の私たちがある、と改めて思います。



アカシヤの並木にポプラに
秋の風
吹くがかなしと日記(にき)に残れり
　　　　　　　　　　　啄木

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