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精神科の言い伝え
精神科ではよく、新人は診断はできるが治療ができない。
中堅は診断も治療もそこそこにできる。
ベテランは診断はできないが治療はできる、などと言います。
なぜ、そのようなことが言い伝えられたかというと、ひとつは、精神疾患の診断と治療の難しさのせいですが、さらに、一筋縄でいかない人間の難しさのせいなのでしょう。
私も人に遅れて医学を志したとはいえ、20年を超えて医療を続けていれば、「新人なもので…」と言い訳もできず(いわんや、「昨日、食べ過ぎて」「この頃、どうも不調で」などと逃げる訳にもいかず)、「診断も治療もそこそこ」のレベルでなければならないのですが、難しいことがしばしばです。
それでも、アルコール依存(アル中)はかなり自信を持って診断できます。なんと、治療もできます。患者が。
酔っ払いが家族に連れられて受診します。
酔っ払い「何?俺がアル中だって?何言ってんだ、くそ医者が」
私「私がアル中と言うんだからアル中です。酔っ払って医者に食ってかかるような人は立派なアル中です」
酔っ払い「立派じゃないやい。俺はだらしない、と言われているんだい」
私「道は二つに一つです。このままがんがん飲み続けて破滅するか、断固断酒して健康な体、健康な人生を回復するか、どちらかです。早く勝負を決めなさい!どっちにしても家族は大助かりです」
嫌々にしろ、受診する時にはすでに本人に断酒の意志がある訳です。その後、自ら断酒し回復の道を歩み、私はぼーと不即不離に見ています。
こんな明瞭な精神疾患もあるのですね。
(2010/03/17)
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