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山下メンタルクリニック - 新潟県小千谷市の精神科 心療内科 神経科

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精神医療ことはじめEssay

No.132

人物誤認 


「ドクターX」のヒットで二匹目のどじょうを狙ってか、医療ドラマが次々に始まりました。

 みんな面白く、筆者はそのため、あたら人生をテレビで浪費していますが、その一つを視ていたら“フレゴリ
妄想(・・)という言葉が出てきて、その説明も興味深いものでした。

精神科の教科書では人物誤認を次の二つに分けて説明しています。



@カプグラ症候群
 これは自分が愛着を持つ配偶者や両親が偽者であると誤認する妄想で、自分にとって最も大切な人を非難したり攻撃したりしますから、そばにいる人は大変です。


Aフレゴリの錯覚(・・)
 
これに対して、フレゴリの錯覚は親密な人がいろいろな人に変装して、別人のふりをして近づいて来るという人物誤認です。相手がストーカーと思われ、これも大変です。


 @Aをじっと見ていると、@は親密な人が減っていく、反対にAは親密な人が増えていくとも見えます。

 従来、精神医学の教科書ではここまでの記述で終わっていました。


 ところが、最近の神経心理学では、相貌(=人物)認知は視覚認知と愛着・親密感(情動認知)が同時に作動しているというのです。

 そして、@は視覚認知に愛着・親密感が伴わないときに起き、Aは視覚認知に愛着・親密感が過剰に作動したときに起きるというのです。

 説得力があります。


 かくして精神医学は神経心理学に還元されていくのでしょうか?



 君に似し姿を街に見る時の
 こころ躍りを
 あはれと思へ

        啄木


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