山下メンタルクリニック - 新潟県小千谷市の精神科 心療内科 神経科

No.110

クールダウン

最近、プロ野球のピッチャーが投球後、アイシングしているのを見ます。
そんな光景から、ふと患者さんの不眠症のことが思い浮かびました。

　不眠症といっても、実際はうつ病のための不眠症が多いのですが、さらに―

�@ハードな仕事が続き、頭は仕事のことでいっぱいで、布団をかぶって寝ようとしても頭は働き続け寝付けない。

�A友人と旅行に行き、枕が変わったら寝付けない。

などの不眠症もあります。

�@�Aはストレスのために交感神経が亢進し、休養モード、つまり副交感神経優位にスイッチが切り替わらないための不眠症です。

　頭がホットのままでは眠れず、眠るためにはクールダウンする必要があります。
スポーツ選手のアイシングです。
　しかし、根性を入れても血圧・血糖値が下がらないのと同様、頑張っても頭はクールダウンしません。

　どうすればいいのか。

　そこで、多くの方へのお勧めは入浴です。

　要するに、頭が回転し過ぎている時、いったん心身共にホットにし、その後、自然と体と共にクールダウンするのを待つ、そんな工夫です。
　そして、寝て起きると心身共にやや回復する、睡眠にはそんな効用があります。

　�@の場合ですと、認知療法も有効ですし、睡眠薬とは違いますが、ＳＳＲＩという薬は頭をクールダウンし自然な睡眠の手助けになります。

　ところで、何故かうつ病患者の体温は一日中高く、このことと不眠と関係がありそうなのです。興味深いですね。



吉野山
やがて出でじと思ふ身を
花散りなばと人や待つらむ
　　　　　　　　　　西行

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