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山下メンタルクリニック - 新潟県小千谷市の精神科 心療内科 神経科

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精神医療ことはじめEssay

No.108

比較文化精神医学 


 中国人に「つまらないものですが」とプレゼントしたら、
「何でつまらないものを」と不快な表情をされたとか。
 インド人に「月曜の朝は憂鬱だよ」と言ったら、インド人大笑い。
「おいおい、月曜は日曜の続きだろう。気楽に行こうぜ」と言われたとか。

 自分・日本の常識が必ずしも他人・世界の常識ではないですが、それを知ることは、自分を反省させ、さらに心地よい驚きを与えてくれます。

 このことを精神医学に持ち込んだのが比較文化精神医学で、人間共通の精神疾患と思われていたものが、実はその人のおかれた社会・文化に深く結びついたものであると教えてくれることがあります。

 早い話が対人恐怖症。つい半世紀ほど前まで、これは日本文化に固有の精神疾患と思われ、文献でもTaijin Kyofusyoと書かれていました。
ところが、実は日本固有でもなく世界中で認められ、今は社会恐怖と呼ばれています。

 それぞれの文化間で精神疾患はどのような特異性、共通性があるのか、それを研究するのが比較文化精神医学ですが、特異性も共通性もどちらも魅力的です。
 
 話は変わり、二月……

 
 小林多喜二の母セキは刑務所の多喜二に手紙を出すために独学で「いろは」から文字を勉強したとか。そのセキの遺品を長女が片付けていたらこんな紙片が出てきた




あーまたこの二月の月がきた
ほんとうにこの二月という月が嫌な月

声をいっぱいに泣きたい

どこへ行っても泣かれない
あーでもラヂオで少し助かる
ああ涙が出る
めがねがくもる

     小林セキ





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