山下メンタルクリニック - 新潟県小千谷市の精神科 心療内科 神経科

No.101

そろばん→電卓→AI

　そろばんを使っている時は、自分が何をやっているかという実感があります。
　電卓でも、ちょっと速いだけで、ただの道具で、自分が使っているという実感があります。
　そこからコンピュータ、さらにＡＩとなると、どう考えていいのか、あまりに理解を超えて飛躍しています。量から質への変化です。

　囲碁ではアルファ碁、将棋ではポナンザ。もう、人間が敵うことはないだろうとのこと。ＡＩによるエポックメーキングを実感します。

　ＡＩは過去の対戦データから学び（過去のデータを教師データと呼びます）、さらにＡＩ同士での対戦を昼夜休まず高速で重ね成長します。
張栩（かつての囲碁名人）は「ＡＩは人間と神の間にいる」と言っています。

　ＡＩは今までの人間では思いつかない手を打ってくるのですが、ここで不思議なのが、ＡＩの開発者自身が、
「どうしてＡＩがこんな手を思いつくのか、それを説明できない」
と言うのです。
ＡＩのブラックボックスです。つくづく妙です。

こんなところは、自分の心でありながら、どうしてそうなのか分からない、というのを思わせます。

　そこを考究し、“無意識”というひとつの回答を与えたのがフロイトで、どうして否定的に捉えるのか、それを明確にすることで生きる自信を与えたのがベックの認知療法と言えるのでしょう。

　ところで、ＡＩを使うと、男の文章から「土曜日・小千谷・低血糖」などとキーワードを拾って、男はラーメン屋に行く……となるのかなあ？


白鳥は哀しからずや
空の青海のあをにも
染まずただよふ
　　　　　牧水

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