山下メンタルクリニック - 新潟県小千谷市の精神科 心療内科 神経科

No.10

突然のパニック！ 

　かつて神経症と言われた一群の精神疾患があります。　

戸締まりなどが気になって何度も確認してしまう強迫神経症、とんでもない病気にかかっているのではないかと気に病む心気神経症、人前だとうまく話せず頭が真っ白になってしまう対人恐怖症……これらはすべて不安を主たる症状とするもので、それなりに了解できる疾患です。

　そんな神経症の中に、突然激しい不安と同時に動悸、呼吸困難、めまい、手先のしびれなどに襲われ、もう見栄も外聞もなく救急車を呼びますが、救急車が来る頃には発作は治まっているという、そんな疾患があります。

 この精神疾患が強迫神経症や心気神経症とは違うようだが、どう違うのかはっきりしなかったところ、１９６４年、Kleinという人がこの発作にイミプラミンという薬が効くということを発見し（ここでも、薬が効く＝脳の病気、という意味が読み取れます）、この時から、神経症という大きな笊（ざる)からパニック障害というひとつの木の実をすくい上げて調理できるようになりました。

現在、パニック障害はかつて神経症といわれた疾患群の中でも最も治療が進み、薬物療法と認知行動療法でほとんど日程通りに完治できます。

　パニック障害は精神科らしからぬ疾患だからかも知れませんが、精神科には珍しく確かな治療の手応えのある疾患で、これは嬉しいことで、私たちのモチベーションを高めます。

内緒ですが、実のところ、努力するのは患者、感謝されるのは私たち……そんな図式もあって嬉しいのです。

（2009/11/16）

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